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減速機と歯車

減速機とは

 入力側動力の回転速度を、歯車等で減じて出力する機械装置を言います。出力としては、回転の減速に反比例したトルクを得ることができます。例えば、入力の回転速度を2分の1にすると得られるトルクは2倍になります。


減速機の分類

 歯車式減速機は、おおまかに下記のように分類されます。

(1) 入力/出力の回転軸が同一方向(平行)
① 同軸(芯)なもの:平歯車の組み合わせで構成
② 異軸(芯)のもの:平歯車の組み合わせで構成
(2) 入力/出力の回転軸が直交(X、Y、Z)
ウォームギアやカサ歯車と平歯車の組み合わせで構成

減速機の精度と大きさによる使用判断基準

 歯車精度と大きさによる用途の関係を、大別すると図のようになります。最近の傾向として、携帯電話、デジカメのように超小型で精密歯車のニーズが高まっています。


減速比とトルクの基礎知識

減速比とトルクの関係

 モーターと減速機構を組み合わせることにより、必要なトルクと回転数を得ることができま す。以下具体例を述べます。
 2つのギア(AとB)をかみ合わせ、ギアAにモーターを取り付けて1kgの力で回転させま す。この時、ギアAの歯数は10枚、ギアBの歯数は20枚とします。



  駆動歯車A 被駆動歯車B
歯数 10 20
トルク 1 2
回転数 1 1/2

減速比=被駆動ギアの歯数÷駆動ギアの歯数
=(例)20÷10=2
被駆動軸トルク=減速比×駆動軸トルク×伝達効率
=(例)2×1kg×η≒2kg


 ギアA(歯数10)を2回転させるとギアB(歯数20)は1回転します。つまりギアAの回転数がギアBでは1/2になる事が分かります。それに伴い、ギヤAを1kgの力で回した場合、ギアBからは約2kgの力が発生する事になります。基本的には、回転数が1/2へと減った代わりに、力(トルク)が約2倍になる、この時の減速比を「2」と表現します。歯車機構の評価では、上式の伝達効率(η)が代表的な特性値であり、これによりトルク・速度伝達・音等の優劣が決まります。


なぜ高精度が必要か

 歯車伝達機構は、複数の歯がその3次元形状のかみ合いにより、トルクを伝達する非常にデリケートなメカニズムです。従って、かみ合う歯車の誤差は、伝達特性に様々な面で悪影響を与えます。減速機を設計するうえで、高精度を前提に行います。高精度減速機を作るためには、歯車が高精度であれば設計思想にあった減速機を作ることができます。但し、精度を含んだシミュレーションは困難です。
 すなわち、歯車伝達機構を構成する個々の部品の誤差を無くし精度を上げることにより、静寂で、高精度、高伝達効率の信頼性の高い減速機を作ることができます。以下、その具体的効果を述べます。


静音化

 高精度歯車では、歯のかみあいが滑らかになりバランスよく回転するため、回転音が静かです。また振動も極めて少なく、例えば手にとって回転させてみるとその違いがわかります。
(応用例:デジタル機器の高級感演出、音響機器、医療機器など)


高精度化

 高精度歯車では、歯のピッチ誤差、累積ピッチ誤差が少ないため、高精度位置決め、高回転精度が得られます。
(例 デジタル光学ズーム、CD/DVDドライブ機構など)


高伝達効率

 歯車のかみ合い誤差や磨耗による動力損失が少なく、高い伝達効率を得られ、駆動モーターの小型化が可能になります。